ユーイング肉腫は、初期症状が、皆違うといっていいほど様々です。
局所の痛みがある場合もあれば、軟部に出来た場合はまったく自覚症状がなく、「なんだろうこの腫れは?」ということで受診する場合もあります。
痛み、腫れ以外にも、全身症状(発熱・白血球の増加・赤沈の亢進・C反応性蛋白の上昇など)がある場合もあります。
まず受診するのは、かかりつけ医もしくは整形外科が多く、レントゲン検査などで腫瘍が疑われて、地域の二次医療機関に紹介され、MRIの検査を受ける場合がほとんどです。
画像検査で、がん(肉腫・ユーイング肉腫)である疑いが出て、患部の組織の一部を,麻酔をしてからメスや針などで切り取って、顕微鏡などで調べる検査を生検(生体検査の略)といいます。
ユーイング肉腫は、顕微鏡では確定しません。遺伝子診断が必要です。これには、専門施設で早くて1週間、平均2週間位の時間がかかります。
ユーイング肉腫は、正確な病理診断によって、適正な初期治療を受けることが重要です。
当会では、生検の段階が大事と考えています。
病理診断によって、ユーイング肉腫と診断が出たら、何を根拠に「ユーイング肉腫」と確定したのか、病理診断についての説明を受けることです。
稀に、病理で、「ユーイング肉腫ではないか」とされて、確定していないのに治療がはじめられることがあるからです。
肉腫は種類が多く、病理が難しいので、肉腫の専門病理医の診断をいただくことがベストと当会は考えています。
家族会で、専門病理医に迅速に診断していただけるよう導くことがあります。
この病気は、誰がかかってもおかしくないけれども症例数が少ないので、かかったお医者さま、また病院が、「何例のユーイング肉腫を診たことがあるか」聞いてみることも必要です。
「診たことがありません」と言われたら、「ユーイング肉腫について、一番よく研究されている病院はどこですか?」と聞くことも重要です。
「昔診たことがあります」「一例か二例みたことがあります」と言われたら、「セカンドオピニオン先を紹介していただけないでしょうか」と聞いてもいいのです。
セカンドオピニオン(診断や治療方針について主治医以外の医師の意見を聴くこと)をすすめる主治医ならば信頼できます。
主治医に「セカンドオピニオンを受けたい」と伝えるのは失礼なことではありません。
整形外科などの外科に入院した場合、抗がん剤の治療に於いて、小児科との連携は年齢が高くても必須です。
ユーイング肉腫は原則として、手術は先行しません。
放射線も有効です。
集学的治療(手術(外科療法),薬を使う治療(化学療法),放射線を使う医療(放射線療法)などを組み合わせて行うこと)が必要です。
専門施設での治療が最善と考えますが、ベッド数が少なく、皆が皆入院できるような体制になっていないのが現実です。
家族会としても、がん対策の一環として、小児固形腫瘍の治療拠点化、患者家族の公的サポートの充実を望みたいと思います。
この病気は、誰かが悪かったから、かかる病気ではありません。 細胞の突然変異ですから、生きていれば、全国各地誰がかかってもおかしくないのです。
誰のせいでもありません。 こういうことはあり得るのだと思って、前向きに正確な情報を集めるよう努力してください。
隠さなくていい病気ですから、家族、親類、地域コミュニティ、行政、学校、職場、あらゆる人に支援してもらってください。
行政には難病担当の課があります。
最寄りの役場、保健所に電話しましょう。
小児は、『小児慢性特定疾患』に当てはまり、治療費、入院費の補助を受けることができます。
小児より上の年齢では、高額医療費助成を受けることができます。
2007年、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍の治療 についての参考資料をいただいているので紹介します。
更に研究はすすんでいるので、肉腫専門の先生の意見を聴くことが重要です。
当会は医療相談に関しては、下記の医療相談を紹介しています。
- NPO法人 サクセスこども総合基金 SUCCESS(旧・小児がん治療開発サポート)
- 小児より年齢が高くても相談にのってもらえます。『肉腫について』の項目もご覧になってください。
次に、元国立がん研究センター小児科科長 牧本敦先生が、2007年、メジカルレビュー社「Cancer Treatment Navigator」に掲載された論文をご紹介いたします。